狛犬とナポリタン 第2話

狛犬神社の斜め向かいでいつもランチを食べている。「今日の日替わりはナポリタンか」、ここのナポリタンはケチャップが濃いめで旨いと評判だ。

「マスター、日替わりでホットコーヒーね」、いつもの窓際の席で外を眺めていると小柄な白い犬が神社の方からやってくるのが見えた。

  

「お待ちどうさま」良い香りを漂わせたナポリタンがテーブルの上に。「ぐぅ~」腹の鳴る音が向かいの席から聞こえた。

 「おい、オレ様にその旨そうなモノを喰わせろ!」、犬がしゃべったのだ。一瞬何が起こっているのか理解できず思考が停止した。

「ごちそうさん、旨かったよ」、そう告げると、犬は目の前から忽然と姿を消した。

 

夢を見ていたのだろうか?会社へ帰る途中、神社の前を通ると、鳥居の向こうにある狛犬の口元にケチャップらしきモノが、「まさか!?そんなことが・・・」、狛犬の顔が少し微笑んでいるように見えた。

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