桜島からの一言 第5話

鹿児島への出張、長距離は久しぶりとあって半ば観光気分。地酒やら珍味をスマホで検索していた。しかし、そんな気分は客先で吹っ飛んだ。いい結果どころか宿題と見通しへの甘さを指摘された。

 

鹿児島湾から桜島フェリーに乗り込み、フェリーの中だけで食べることの出来るうどんを食べる。「これはうまい」、もう目の前には雄大な桜島が見えている。今月は噴火の回数が多いらしい、「桜島も生きているんだなぁ」。

先ほど客先から言われた嫌味な一言を思い出す。気分転換のつもりでフェリーに乗ったつもりだったが、山頂にも行きたくなった。

 

「お前さんは何でおいに登る?」、突然、頭の中に言葉が浮かんで来た。「元気を分けて貰おうと思って」、言葉を返した。すると今度は、「人間は悪か想いばかり置いていくから不愉快だ」、「今度きなさっときはよか気持ちで来てくんやん」、「そしたら雄大な姿でお出迎えしましょう」と返事が返ってきた。

自分のことしか考えていなかったことに気付き、恥ずかしくなった。「ありがとう桜島」、なんだか晴れやかな気分になった。

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