自宅でテレビをみている時、よく独り言をいっていると彼女から指摘を受けたのだ。第三者から言われて初めて気付くこともある。「まさか自分が独り言をいっているなんて」、にわかには信じられないでいた。
テレビのニュース、ある町で小さな子供が連れ去られたと母親が泣きながら我が子の身を案じている映像が流れていた。「犯人はこの母親、子供はもう生きていないと想う」、無意識につぶやいたのだ。「いま言った事って本当?」、彼女は驚いて聞いてきた、「分からない、何となくそう想っただけ」とその場は答えた。
その後、連れ去り事件は警察の捜査が進み犯人が逮捕されたとテレビのニュースで言っていた。犯人は実の母親で、子供は近くの山林へ埋めたと自供したのである。やっぱり犯人は実の母親だったのだ、無意識のつぶやきが現実となる。彼女が思わず口にした、「不思議な力だね」、第六感?超能力? これまで無縁の世界の話しだと想っていたこと、戸惑う自分、何かが変わった瞬間だった。
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