何ものかの所業 第17話

お盆の時期に経験した祖父母の家での恐怖体験、いまでも脳裏に焼きついている。あれは確か大学1年の盆入りの日、家に入る前、祖父に“迎え火”の上をまたぐよう言われた瞬間から始まった。「何やら妙な胸騒ぎがする!」、子供の頃から感じていた感覚、「何かが居る!この辺りには…」

 

1日目の夜、テレビの上のコケシが「カタッカタッ」と音を立て動き出した。2日目の夜、家の外壁を誰かが外から叩く音が「バンバンバン」と鳴り響いた。「イタズラか?」、外には誰も居ない。こんな状況下でも便意はやって来るものだ。最悪なことにトイレは家の外にあった。「恐い、でも行かないと・・・」、恐る恐る用をたしていると「ドン、ドン」誰かが叩く、「誰だ!」、返事がない。怪奇な現象は段々エスカレートしていっているようだ。3日目の夜、真夜中に拍子木を打つ音が遠くから近付いてくる。入口の前でそれは鳴り止んだ。「体が動かない、金縛り?」

 

4日目の夜は迎えることはなかった。余りの恐ろしさに田舎から逃げ帰ったからだ!あれは何だったのだろうか?あのまま残って居たらどうなっていたのだろうか?あの家は今では他人の手に渡り、立て替えられたとか、うわさでは家が完成したその日に、家主が突然死したらしい、「そうかぁ、あの時、逃げていなければ・・・」と言いかけ言葉を呑み込んだ。