草木も闘っている? 第18話

天気の良い昼下がり近くの公園で昼寝でもしようと立ち寄った時の出来事である。公園中央に芝生を敷き詰めた一角があり、“中に入るな!”という立札が、でも昼寝をするには最適な場所だ。「どっこいしょっと」、芝生に寝転がり、ポカポカとした初夏の日差しを受けながら、直ぐにウトウトと夢の中へ・・・。

 

どこまでも続く草原が広がっている。とても気持ちの良い処だ。「こんな自然の中で暮らせたらきっと幸せだろうなぁ」、背後に気配を感じ振り向くと、初老の老人が立っていた。「あれぇ?どこかでお逢いしましたよね?」、初老の老人は一言、「ない!」と言い切った。いぶかしさは残るものの彼の話しに耳を傾ける。

 

「自然は常に変化している。ひ弱そうに見える草木でさえも生き残るために必死で闘っておるのじゃ!」、そう話すと頭の中に何かのビジョンを送って来た。時間を早送りした映像が映し出され、草木もみな必死で戦っている。まるで領土の奪い合いだ。負けた草木は養分として吸収されて逝く、弱肉強食の世界。「草木も闘っている」、自然の厳しさを少し垣間見た気がして夢から目が覚めた。でも以前、銭湯であったあの老人がなぜ夢の中に?もしかして、仙人?何か不思議な縁を感じた。

コメント: 0 (ディスカッションは終了しました。)
    まだコメントはありません。