空に浮かぶ謎の門 第21話

あの存在に気が付いたのは確か幼少のころだったと思う。突然のスコールに行き交う人々は軒下を目指して慌ただしく迷走していた。「凄い雨だね、でも通り雨だから直ぐやむよ」、10分もすると雲間から明かりが差し込んで来て、瞬く間に青空が広がっていった。私は小さな視線で空に浮かんでいる大きな不思議な物体を眺めていたのだ。

 

「あれはいったい何だろう?」、大きく煌びやかで、立派な造りの扉のようなものがあり、その奥からは、牛車や馬車がしきりに出たり入ったりしていた。客車側には、人が乗っていて、少し古めかしい容姿をしていたことを覚えしている。「そう、あれは何かの門に違いない!」、幼いながらもその雄大さに目を奪われ、しばらく眺めていたことを今でも時々想い出す。

 

「お空に大きな門が在ったよ!」、大人達は誰も信じてくれなかった。それから毎年その門は空に現れては消えてを繰り返し30年以上経っても無くなる事はなかった。今ならあの門の意味が理解できる。「今年もお盆の時期がやって来た!」、上空には霊界門がその姿を現している。

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