タンポポ達のつぶやき 第23話

休日のとある昼下がり、街中を散歩中の出来事である。周りを見渡すと小さな草花がけっこう咲いていることに気付く、普段はあまり気にせず通り過ぎていた風景、電信柱の下や建物の脇など、意外と多種多様な草花が生えているものだ。

こんなアスファルトで埋め尽くされたコンクリートジャングルでも彼らは懸命に生きていることに少し感動を覚えた。その中でも複数の黄色い花を咲かせ、ギザギザ緑の葉っぱが可愛い花があった。それはひときわ目を引く「タンポポ」の花だった。

 

しばらく立ち止まってタンポポ達を眺めていると、風に揺られて隣同士が微かにぶつかり合っている。「おい!お前、そこに立つな!」、「お日様が当たらなくなるだろ!」、誰かに怒られた。「暇なのか?」、「見せ物じゃねぇ!」、「とっとと消えな!」、ずいぶんと口の悪い話し声が聞こえてくる。「スミマセン、彼らも悪気があって言っている訳ではありません。お気を悪くしないでくださいね」、そうかと思うと謝る声が・・・。

 

「!?」、目の前にはタンポポ達しかいない。「まさかタンポポの花がしゃべる訳がない!」、驚きとは別に心の中を心地よい風が吹き抜ける。タンポポ達の会話はとても爽やかな気持ちにしてくれる。しばらくタンポポ達の会話に耳を傾け、その後タンポポ達にサヨナラを告げて都会の喧騒に帰って行った。たまには散歩も良いものだ。今度はどんな草花と出逢えるだろうか。

コメント: 0 (ディスカッションは終了しました。)
    まだコメントはありません。