手を叩く音に救われる 第33話

 プレゼン時間は60分、時間配分については何度も事前に打合せをして、会社概要は5分、分析事例を10分、後は客先から課題を聞き出す為に45分と決めていた。会議室に通され、中に入ると会議室は満席状態、想定外の人数に圧倒されつつプレゼンは始まった。

 「それでは、本日はお忙しい中お集まり頂き…」「我が社の強みは…」開始から10分が過ぎてもまだ会社概要が終らない。緊張のあまりペース配分がめちゃくちゃに、これではいけないと焦れば焦るほど緊張が増す。その時、左の方から誰かが手を叩く大きな音が二度「パン、パン」と鳴った。

 鳴る筈のない音にびっくりし、我に帰る。それまでの緊張が嘘のように解け無事プレゼンは終わる事が出来た。あの音は何だったのか?音について周りの人に聞いてみても誰も聞いてないと云う。幻聴だったのだろうか、それとも…。いずれにしろあの音に救われたのは事実であり、とても感謝している。

コメント: 0 (ディスカッションは終了しました。)
    まだコメントはありません。