黒い球体アラワル! 第47話

気分転換も兼ねて部屋の片付けをした日の事です。軽い気持ちで始めた片付けだったけど、けっこう捨てるものが多いのに驚いた。中でも雑誌や本を紐で縛り、ゴミの収集場所に持って行くだけでもかなりの重労働、明日は筋肉痛と考え、夜は湯船に浸かり、早めに就寝を心がけた。

 

朝方だっただろうか、布団の中でバチバチと静電気が異常発生し、驚いて目が覚めた。「普段は静電気なんて起こらないのに・・・」、何か不自然な事象が起こっている?疑念と共に、見慣れぬ物体が天井に浮かんでいるのに目が留まった。天井にはゴルフボールくらいの黒い球体が、等間隔に沢山並んでいるのが見える。「何だろう?」、寝ぼけ眼をこすりながら何度も見直したが、黒い球体は消えずに目の前に存在する。「これは夢じゃない」、一瞬、気が動転し、パニックに陥りそうになったが、意外にも恐怖心は湧きあがって来なかった。

 

黒い球体は音も光も発せず、動き回るわけでもなく、天井に等間隔に並んでいるだけだった。部屋の明るさに目が慣れてくると、壁にも黒い球体が並んでいるのが分かった。この部屋は黒い球体で囲まれている。布団の中では継続的に静電気がバチバチと音を立てている。「この静電気は黒い球体が起こしているのだろうか?」、黒い球体を観察してみたけど得られる情報は何もなかった。ただ直観的に危険ではないと云うことだけは分かる。

 

安堵感からか、再び寝入ってしまい、次に目を開けた時には、黒い球体は何処にも見当たらなかった。「あれぇ?体が軽い」、昨日の片付け疲れがウソのように消えている。もしかしてあの黒い球体、電気マッサージをしてくれたのかも知れない。「あの静電気・・・」、ちょっと不思議な体験でした。

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